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現代のビジネス環境では、AIが企業の競争力を左右する重要な要素となっています。しかし、AIをどのようにビジネスに適用し、効果を最大化するかは多くの企業にとって大きな課題です。

フィックスターズでは、企業の経営者やマネジメント層を対象に「AIをビジネスにどう活かすか講座」を開催し、AIの活用方法とその可能性についての知識を提供しています。自動車、情報通信、金融、製造など多岐にわたる分野での豊富な経験を基に、具体的なソリューションを提案しています。

先日行われた第3回講座では、AIの最新動向、活用事例、オープンソースの活用方法などが議論され、参加者同士の活発な意見交換が行われました。本レポートでは、そのセミナー内容を振り返り、今後のビジネス戦略におけるAI活用のヒントをお届けします。

登壇者

三木 聡(プロフィール

株式会社フィックスターズ 代表取締役社長/CEO

二木 紀行

株式会社フィックスターズ ソリューション第一事業部
エグゼクティブエンジニア

AIをビジネスにどう活かすか講座について

日本では、AIを活用してコスト削減を目指す流れが強いですが、本日のセミナーはそれとは異なり、AIを使ってどのようにビジネスを拡大していくかにフォーカスしてお話しました。この講座の目的は以下の3つです。

1つ目は、現在のAIがどのような状況にあるのかを大まかに把握していただくことです。

2つ目は、AIを作るのにはコストがかかるというイメージがあるかもしれませんが、近年では日本のベンチャー企業でも独自のAIを作れる手法が出てきています。その方法を学んでいただきたいということです。

3つ目は、各社が持つ独自のデータを活かして、AIを用いたビジネスのスケールアップを考え、検討していただくことです。

どうぞよろしくお願いいたします。

AIと言えば

こちらはある会社の売上の伸びと株価の伸びを示しています。このグレーの棒グラフは売上で、2024年度は約600億ドル、今の為替*1レートではなんと8〜9兆円を示しています。どこの会社のグラフでしょうか?

これはNVIDIAの売上と株価のチャートです。

皆さんご存知のように、ここ最近NVIDIAは非常に成長しています。NVIDIAは今のAIブームを作り出した立役者とも言えます。非常にうまくビジネスを設計してAIをここまでけん引してきた結果、世界中で非常に高い評価を受けています。

AIの種類

こちらはAIの種類を4象限に分けた図です。上がAGIと呼ばれている大規模なAI、いわゆるジェネラルなAIで、何でも知っている全知全能のAIを作る世界です。下が専門性のあるAIで、左側がプロプライエタリ、つまり非公開クローズドなAIです。右側がオープンソースで無償で公開されているAIです。

AIの種類を4象限に分けた図
AIの種類を4象限に分けた図

日本で話題になっているのは左上のChatGPT、MicrosoftのCopilot、そしてGoogleが作っているGeminiです。この3つは非常に有名で、皆さんの中でも、AIを使っているという方はこのどれかを利用しているのではないかと思います。

左上には無償のものもありますが、ビジネスで利用するには有償のものが多いです。これは「使う」タイプのAIです。

左下には、専門的かつプロプライエタリなAIが含まれており、アドビFireflyやSplunkなどが代表的な例です。

そして、右上に注目してほしいのですが、このカテゴリーで有名なのはLlamaです。これはFacebookを運営するMetaが数兆円をかけて作っているAIモデルで、それを無料で公開しています。彼らのビジネスモデルは明らかにされていませんが、後発なので、オープンソース化することでユーザー数を増やしたいのかもしれません。

ヨーロッパではMistral AIが有名で、これも数千億円をかけて作られていると言われています。さらに、ラクダのロゴのSwallowというプロジェクトがあり、これは東京工業大学と産業技術総合研究所が国の資金を使って進めているものです。このプロジェクトでは、先ほどのLlamaの日本語能力を強化したものを公開しています。

右下にはStable Diffusionがあります。これは画像生成に特化したAIで、無料で利用することができます。

MetaのLlamaは一般的な自然言語処理に特化したAIですが、プログラミング言語にフォーカスしたCodeLlamaという形でも公開されています。

右の中央にあるHugging Faceについても注目してほしいです。これは、今日ぜひ覚えて帰っていただきたいポイントですが、さまざまなAIモデルが集まっているハブ的な場所です。

AIの開発環境

NVIDIAがこれだけ利益を上げている理由の一つでもあるのですが、現在多くのAIはPyTorchというソフトウェアライブラリの上で作られています。PyTorchが動作すれば、世の中で作られているAIも動作するというイメージを持ってください。AIはこのPyTorchというプラットフォームの上で作られており、その下には大きく2つの選択肢があります。

AIの開発環境
AIの開発環境

1つ目はNVIDIAです。NVIDIAはGPUというハードウェアを作り、CUDAというソフトウェアを提供し、その上でPyTorchが動いています。CUDAは、NVIDIAのGPUで高速に計算を行うためのプラットフォームで、プログラマーが効率的にGPUの力を使えるようにするツールです。

もう一方はGoogleです。Googleは半導体を製造し、コンピューターを作り、その上にJAXというソフトウェアを開発して提供しています。しかし、Googleは戦略的にこの技術を販売しておらず、主にクラウドサービスのユーザーのみが利用できるという形になっています。そのため、本来ならNVIDIA GPUとの間で競争が働くはずなのですが、実際には限定的な環境でしか使われていません。

AIを本格的に開発しようと思うと、Google Cloudを利用するか、NVIDIAのGPU製品を購入またはレンタルするかの二択になります。私たちもNVIDIAのGPUを借りたり買ったりしていますが、現在1台買うと8000万円します*2。今の為替レートだとさらに高くなるかもしれません。1台8000万円のGPUを世界中の人々が買い求めている時代です。そのため、NVIDIAはしばらくの間、強いだろうと思います。


  • *12024年8月7日時点
  • *2NVIDIA DGX H100(NVIDIA H100 Tensor Core GPU8基搭載)の2024年8月時点でのおおよその価格

AIをビジネスにどう活かすか講座

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