概要
背景
車載SoCのメーカーとして、ソフトウェアファーストの商品提供活動ができるよう、統合開発環境の構築を進めている
AD/ADASアプリケーションは深層学習を用いているため、そのモデルの最適化やR-Carの性能を最大限に活かすための処理を行うには、ソフトウェア開発の高度な知見と開発コストを払う必要があった
プレスリリース ルネサスとフィックスターズ、AD/ADAS向けAIソフトウェアをR-Car SoCに最適化するツール群を共同開発
課題
演算器やメモリ等のリソースが限られている車載SoC上でのリアルタイム処理の実現は、モデルや実行プログラムを軽量、最適化する必要があり開発負荷が高い。
加えて軽量、最適化する過程で推論処理の認識精度が劣化してしまい、モデルを修正をする場合がある。実チップを使って開発しているとこのような評価検証に時間がかかる。
ソリューション
深層学習ネットワークモデルの生成から最適化、コンパイル、シミュレーションまで行える以下の3つのツールを共同開発。
- R-Carに最適なネットワークモデルを生成するツール「R-Car NAS(Neural Architecture Search)」
- ネットワークモデルをR-Car用にコンパイルするツール「R-Car DNN Compiler」
- コンパイルしたプログラムを高速にシミュレーションするツール「R-Car DNN Simulator」
R-Car NASを用い、認識精度や処理時間の要件を満たす軽量なネットワークモデルを生成可能。
R-Car DNN Compilerにより開発したネットワークモデルを、R-Carの性能を最大限活用できるようなプログラムにコンパイル。コンパイルされたプログラムは高速かつ、小容量なSRAMを最大限活用できるようメモリの最適化も行われている。
R-Car DNN Simulatorにより、R-Carの実チップを使わずにプログラムの動作検証を行い、R-Carと同等の演算結果を得られるようになった。
3つのツールを適切に使うことにより、製品への深い知識なしにチップの性能を最大限引き出せるAD/ADAS用アプリケーションを、従来より短い期間で開発することができるようになった。